デジタルセキュリティとプライバシー製品のグローバルリーダーであるアバストは、ストーカーウェアの使用が2020年1月~2月と比較して、新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛要請期間である2020年3月~6月の間に全世界で51%増加していたとする調査結果を発表しました。ストーカーウェアとは、知らないうちに位置情報を追跡されたり、写真や動画にアクセスする非倫理的な行為を行うソフトウェアを指します。メールやFacebookなどのコミュニケーションアプリでの通信を傍受されるほか、電話での会話を盗聴されたり、インターネット上でのやり取りを同意なしで記録されたりする危険性もあります。
アバストは日本国内においても、2020年1~2月と比較して、2020年3月以降のストーカーウェアの使用が165%増加していることを確認しています。
アバストが確認したストーカーウェアの利用増加の背景には、プムズィレ・ムランボ=ヌクカ(Phumzile Mlambo-Ngcuka)国連女性機関(UN Women)事務局長が「陰のパンデミック」と呼んでいる、新型コロナウイルス危機下におけるドメスティック・バイオレンス(以下、DV)の増加が影響していると考えられます。
DVの被害者を支援している英国の慈善団体「Refuge」は、外出自粛要請以降、電話による相談件数が66%増加し、同団体の公式ウェブサイトへのアクセスは950%増加したと報告しています[1]。また、英国では外出自粛期間の最初の数週間で殺人事件の件数が2倍に増加しました[2]。インターネットとコネクテッドデバイスが普及している現在、DVの加害者はストーカーウェアを使用することで、外出自粛中の被害者に対する監視をさらに強めていると考えられます。
日本も例外ではなく、内閣府男女共同参画局推進課 暴力対策推進室によると、全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた2020年4月の相談件数は13,223件で、2019年4月の10,295件から約3割増加しています[3]。
アバストの最高情報セキュリティ責任者(CISO)であるジャヤ・バルー(Jaya Baloo)は、次のように述べています。「マルウェアの中でも特にストーカーウェアの使用が増加傾向にあることは、不穏で危険な兆候です。スパイウェアが個人情報を窃盗するのに対し、ストーカーウェアは、被害者の物理的自由とオンラインでの自由を奪います。例えば、友人、嫉妬深い配偶者、昔の恋人や元配偶者、さらには子供の行動を心配している親などが、被害者の携帯電話にこっそりストーカーウェアをインストールし、位置情報を追跡したり、閲覧したウェブサイトや送信したメッセージ、電話の内容を監視し、個人のプライバシーとオンラインでの自由を侵害しています。新型コロナウィルスによる外出自粛期間と、DVの被害件数が増加した期間が一致している傾向が世界的に見られており、その傾向はアバストがデジタル上で発見したストーカーウェアの増加傾向とも一致しています。我々は、こうした脅威からユーザーを保護するためにできる限りの支援を行います。」
スパイウェアやストーカーウェアの中には、新型コロナウィルスに関連したアプリも多数確認されました。これらのアプリは、通常の機能に必要なデータよりも多くの個人情報を収集しており、ユーザーを監視するために開発された疑いがあります。
アバストは、世界中で43,000人以上のユーザーをストーカーウェア・スパイウェアから保護しました。こうしたストーカーウェアの脅威から身を守るために、今すぐ実行できる3つの対策をご紹介します。
[2] https://www.bbc.co.uk/news/uk-52433520
[3] http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2020/202006/pdf/202006.pdf
[4]http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/index.html