デジタルセキュリティおよびプライバシー製品のグローバルリーダーであるアバストは本日世界12カ国を対象としたオンライン授業に関する調査結果を発表しました。外出自粛期間中のオンライン授業に満足していると回答した日本の保護者はわずか24%で、調査対象国中で最も低い結果だったことが明らかになりました。
※「大変満足している」と「満足している」と回答した人の合計
不満の理由として、「学習量の少なさ・学習時間の短さ」「子どもの集中力が続かない、集中できていない」「コミュニケーションが一方的」などが挙げられています。その一方で、「新型コロナウイルスを予防しながら学習ができた」「オンライン授業に参加することで規則正しい生活の維持ができた」「子どもの学習内容を確認することができた」といったオンラインでの授業を評価する声もありました。オンライン授業には課題が多いものの、「今後このような学習方法が普及することを考えると良い経験になった」と述べている保護者もいました。
オンライン授業に不満を感じているのは保護者だけではありません。文部科学省が6月に実施した調査によると、日本の高等学校の47%、中学校の10%、小学校ではわずか8%しかオンライン指導を行っていないにも関わらず、調査対象の公立学校のうち80%以上が臨時休業期間中の学習指導に関して、ICTの活用に課題があったと回答しています。
オンライン授業について不満を持つ保護者は多いものの、オンライン授業を受けている日本の子どもの中で1週間に1回以上技術的な問題に遭遇した子どもは10人に1人(10%)で、世界平均の19%と比べ、技術的な問題に遭遇する子どもの割合はほかの国に比べて最も低いことが明らかとなりました。その理由として、オンライン授業は多くの場合「Zoom」や「Microsoft Teams」など、保護者が仕事で利用したことのあるツール上で実施されていることが考えられます。実際、オンライン授業が開始されてから新しいツールを学ばなければならなかったと回答した保護者は約14%と、調査対象国の中で一番低い結果となっています。
オンラインでのリモート授業の実施に際して、オンラインのセキュリティやプライバシーに関する教育が十分に行われていない可能性も明らかになりました。「教員が生徒のプライバシーに配慮している」と回答した保護者が34%だったのに対し、「オンライン授業のプライバシーに関するルールを教員から何も聞いてない」と答えた保護者が38%という結果となりました。子どもの作品等がウェブサイトで他の生徒や保護者からも閲覧できるようになっていると回答した保護者も2割に上っています。
アバスト ソフトウェア ジャパン 社長である藤本善樹は次のように述べています。「新型コロナウイルス感染の問題が長期化する中、学校関係者、ならびに保護者と子どもたちは、安全と教育の質を両立させるために待ったなしでICTを駆使した未知の取り組みを強いられてきましたが、オンラインでの授業やコミュニケーションの実施を急ぐあまり、セキュリティやプライバシー保護まで十分な配慮ができていない可能性が危惧されます。
管理者側は、システムやサービスの脆弱性に関する理解や対応について、委託している業者や専門家からアドバイスを得て、適切な措置を施すことが肝要です。利用者側についても、学校関係者へのメールが大幅に増えた結果、誤ってランサムウェアやハッキングの被害に遭うケース、保護者や子どもたちが学校で使うツールのログイン情報を漏洩させてしまうケースも考えられます。学校のシステムやサービスを利用する個々のユーザーの方々にも、セキュリティやプライバシーへの高い意識を持っていただき、アンチウイルスソフトやVPNによるセキュリティ対策、適切な情報の取り扱いを徹底することで、この難しい局面においても、安全かつ質の高い教育の継続を支えていただければと願っています。」
本調査について
本調査は、アバストがTolunaに委託し実施したもので、日本国内の保護者501人を含め、世界12か国の保護者6,000人以上を対象に2020年6月に実施されました。